Tシャツは味わいが命・ショップ運営者が語る「味わいのあるTシャツ」とは

Tシャツショップ運営者の「俺の好きなTシャツ=味わいのあるTシャツ」についてご紹介する記事です。人それぞれ好みはありますが、Tシャツ好きのTシャツショップ運営者が独断と偏見で選ぶ「味わい」があふれるTシャツとはなんなのでしょうか?味わいの正体を考えながら、ショップ運営者こだわりのTシャツを紹介していきます。

Tシャツは味わいが命

人それぞれ好みはありますが、Tシャツ好きのTシャツショップ運営者が独断と偏見で選ぶ「味わい」があふれるTシャツとはなんなのでしょうか?味わいという言葉は「趣(おもむき)」とか「妙味」などに言い換えることができます。また、最近はマーケティングにおいて、機能的な「質的充実」ではなく、感覚的な「好き嫌い」が商品選びのポイントとなることを味わいと呼びます。味わいは抽象的なものですが、多くの人が好き嫌いで商品を選んでいることは間違いありません。ここからは、Tシャツにおける味わいの正体を考えながら、ショップ運営者こだわりのTシャツを紹介していきます。

ショップ運営者のプロフィール

今回、お話を伺ったショップ運営者・佐藤氏(仮名)は、東京都出身。現在50代前半で、Tシャツショップを運営して約10年。ショップを始める以前は生活雑貨の輸入や商品企画に携わっていたそうですが、趣味のTシャツ好きが高じてオンラインショップを開くことにしたのだそうです。オリジナルブランドのTシャツも販売していますが、アジアを中心に、各国から輸入した新品Tシャツ、ユーズドTシャツの販売に力を入れています。その他、シルバーアクセサリーやベルトバックルなどのファッション関連アイテムも販売。オンラインショップに加え、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」といった大手ウェブモールにも出店しています。ウェブモールへの出店は、売り上げを確保するという面では確かに効果的だと語る佐藤氏ですが、自社運営のネットショップや実店舗を持つことは大切だと言います。

「Amazonや楽天市場ではそこそこ売れるけど、顧客を育てることはできない」という佐藤さん。Tシャツをメインにしているショップとしては、ウェブモールではブランドやショップの個性をアピールすることが難しいと考えています。

「購入するお客さんは、あくまでもAmazonや楽天市場で購入しているのであって、特定のショップから購入したという意識を持っている人は少数です」

佐藤さんは、自分で買い付けたり、デザインしたりした商品の良さを知ってもらいたいので、ブログやSNSを通じて情報を発信し、自身で運営するウェブショップに誘導する努力を続けています。

「やっぱり味わいのあふれるTシャツを知ってもらいたいですからね」

味わいの正体とは?

味わいのあふれるTシャツ。下着から進化した歴史を持つTシャツは現在、「速乾」「吸湿発熱」といった新素材が登場し、機能性がクローズアップされるようになってきています。もちろん、新素材が採用されたTシャツは、私たちにとって大きな恩恵をもたらしています。ただ、そこに味わいはあふれていません。

1950年代、アメリカの若者たちが、映画の中のジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドに憧れました。「白Tシャツ」を着たハリウッドの名優たちに熱狂したのです。当時の白Tシャツは「反逆」や「男らしさ」の象徴でした。人々は白Tシャツの中に、それらの味わいを見出したのです。

「単純にかっこいい、でもいいのですが、私にとってはくたびれた感じというかなんというか、経年劣化が伴った味わいが好きですね」

佐藤さんは、「首回りの伸び」や「ボディの毛玉」なども味わいの一つだと言います。

「味わいって口では説明しにくい抽象的なものですよね?そして人それぞれ感じ方が違う。でも、そうやっていろいろ感じながらTシャツを買ったり、集めたりすることが楽しいんですよ。海外に古着Tシャツを仕入れに行くと、裾やお腹の辺りに小さな穴の開いたTシャツをよく見かけますが、前のオーナーがどんな着方をしていたのか、そこに物語があるような気がするんです。古着Tシャツは、私の『味わいTシャツ』のお手本なんですよ」

古着Tシャツがお手本

古着の売買は、一時の盛り上がりはありませんが日本でも人気です。中野や高円寺などの中央線沿線、下北沢などは、音楽とファッション、アングラ文化の中心地として古くから栄えました。佐藤さんがTシャツの商売を始めたのは、古着人気もまったく落ち着いた頃。どこに仕入れに行ったらいいのかもよくわからない手探りの状態で商売を始めたと言います。

「古着の人気はもう落ち着いてましたから、正直、アメリカまで仕入れに行くのは躊躇してました。知り合いから情報もらって、古着が大量に集まる東南アジアの巨大マーケットにも足を運びました。あんまり収穫はありませんでしたけど」

ただ、この東南アジア出張は大きなきっかけになったようで、それから佐藤さんはタイでオリジナルTシャツの製造や仕入れをするように。

「タイであんなにTシャツ作りが盛んだったとは知りませんでした。市場に行けば所狭しとTシャツが並べてありますからね。ボディの種類も豊富だし、実は古着Tシャツもたくさん売ってるんですよ!」

古着Tシャツ

元々、古着は好きだった佐藤さん。ただ、「ビンテージ」として高く取り引きされている古着については違和感があったと言います。

「私にとっては『かっこいい』と思えるものが一番なので、ネットオークションで特定のビンテージ商品が高値で取り引きされているのを見るのは違和感がありますね」

確かに昔から「○○の△△タグ付きのTシャツは超プレミア」などとよく耳にします。

「これ落札した人、着るのこれ?って思いますよね?魅力を感じて落札してるとは思えないんです。古着でも新品でもそうなんですけど、感じるところがあって仕入れています」販売を始めた頃は売れるかどうか不安だった古着Tシャツですが、すぐに売れて安心したそうです。

「私は古着Tシャツにいろいろ教えてもらいましたね。魅力を感じたTシャツについて詳しく説明すると、共感してくれる人が出てくるものなんです。まあ、だからといって売れるわけではないんですけどね」

古着Tシャツを漁っているときは、ほぼ感性で選んでいるという佐藤さん。好きなタイプのデザインは、

「特定のものにこだわっているわけではありません。強いて言えば、キャラクターやロゴTシャツ、ロックTシャツなどですかね」

古着キャラクターTシャツ・ロゴTシャツ・ロックTシャツ

佐藤さんがいつも気にしながら探しているジャンルはキャラクターやロゴT、ロックTシャツ。昔から好きだったキャラクターや音楽とTシャツは密接に関係しているので楽しいと言います。

「古着は小さい頃から好きだった要素と、味わいが同居しているところがいいんです。プリントがかすれていたり、縫製にほころびがあったりする。もちろん直すところは直しますよ。でもそのままの方が魅力的なものはそのままにしておきます」

「新品Tシャツでほつれていたり、穴が開いたりしているものは論外だと思いますが、古着Tシャツの場合、それぞれのTシャツが存在してきた、そのストーリーが小穴だったりほころびだったりするわけです」

「味わい」はTシャツショップ運営者のこだわりと言えばそれまでかもしれませんが、過度に機能性がもてはやされている今こそ、注目したいファッションの要素だと言えます。